2019年の新春を迎えて

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NPO法人そばネット埼玉会員の皆様

平成31年の新春をご家族の皆様とお揃いでお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
今生天皇陛下の生前退位により平成のお正月はこれで最後となることが決定していて、5月1日には新しい元号となる特別な年になります。
一昨年99歳9月で逝った父が大正、昭和、平成を生きたように、私も昭和、平成に加えて3元号にわたっての人生になりそうです。

さて、平成は「自然災害の時代」とも言われていることはご承知だと思います。
多くの犠牲者が出た災害として記憶にあるのは、平成3年6月の雲仙普賢岳の火砕流発生に始まり、平成5年7月の北海道南西沖地震、平成7年1月の阪神淡路大震災、平成23年3月、未だ復興途上の東日本大震災、昨年7月の西日本豪雨がありますが、その間にも地震、豪雨、台風などの被害を頻繁に受けています。
「天災は忘れたころにやってくる。」との諺も「忘れないうちにやってくる。」になっています。
最近も南海沖巨大地震が30年以内に発生するとの報道もあり気の休まるときもありません。
大自然の前には人類はなすすべもないことを理解する必要があるのでしょうか。

前置きが長くなりましたが、皆様における昨年のそば打ち活動は満足のいく内容でしたでしょうか。
私たちは、手打ちそばをこよなく愛し、仲間と交流し、さらに、手打ちそばを通じて社会貢献、地域活性化に尽力することにより、自らが充実した人生を謳歌できることを実践しているものです。
NPO法人そばネット埼玉は、そのための情報の受発信、交流の場の提供をするもので、会員による、会員のための組織であります。

さて、弊法人理事会(以下「理事会」)では、日本の伝統食文化を代表するとも言われる「手打ちそば」の普及活動を推進する上で、今後継続して注意を払う必要がるのではないかという2つの案件について討議を重ねています。

一つは、食物アレルギー、特に最も身近な「そばアレルギー」への対応です。
食物アレルギーの中に「そばアレルギー」があることは広く知られています。
しかし、私たち手打ちそば愛好家は、食物アレルギーのことについて基本的なことを十分知りえているでしょうか?
「そば」は食品衛生法上指定した表示義務がある7品目に含まれており、その理由として、「症状が重くなることが多く、生命に関わるため」としています。
最近、NPO法人そばネット埼玉の団体正会員が継続して実施していた「小学生そば打ち体験教室」が「そばアレルギーの対応が難しい。」として中止になったり、他県では、段位認定会などのそば打ちイベントでも同様の理由で会場借用ができなくなってきている実例も出てきています。
そば打ち体験教室はおろか施設の借用もままならないとなれば、私たちの手打ちそば普及活動は大幅に制限されてしまうことになるでしょう。
そこで、先ずは「食物アレルギーとは?そばアレルギーのへの対応は?」を学ぶことが急務として、昨年12月22日に食物アレルギー専門医であり「さいたま市民医療センター小児科科長 診療副部長 西本 創先生を講師にお招きして「第37回手打ちそばアカデミーin埼玉」を開催したものです。
会員の皆様の関心も高く当日は136名の受講生が真剣に学んでいました。
今後、多くの会員がそばアレルギーによる事故防止に注意を払いながら活動を推進していく必要があります。

もう一つは、そば粉という食材を大切に扱う意識が重要だということです。
私たちは日常的に[そば粉]を扱っていますが、大切な食材としての意識が欠けている面はないでしょうか?
会員の中にはそばの栽培もされている方も多く、畑の管理から収穫までの大変さは身に染みてお分かりの方も多いと思います。
栽培農家や製粉業者の方々は、美味しく食べていただきたいと心込めて、栽培、製粉をしているものです。
そばを打つということは食べるための行為であり、「食べて」そば打ちは完結です。
多くのそば打ち愛好者はそば粉を大切にされていると思いますが、段位認定や名人大会などへの挑戦で合格を目指す或いは名人を目指すために一生懸命稽古をすることになります。
当然、数多く打つことが上達につながるものでそれ自体は非難されことにはなりません。
しかしながら、練習で打ったそばの処理が問題になります。
家族や友人に食べてもらうのにも限界があります。悪いとわかっていても廃棄してしまうことにならざるを得ないほど打つのはいかがなものでしょう。
国連の報告書(2017年)によれば、世界で8億2100万人が十分な食料を得られず、国連世界食糧計画(WFP)は、1億2400万人は明日食べることもままならない深刻な状況としているとのことで、食品ロスと飢餓の問題をセットで考えて解消を目指すキャンペーンをするとのことです。
日本での食品ロスは推計で年646万トン(2015年度)で、官民挙げて食品ロスの削減に取り組んでいます。(以上、2018.9.25および10.16朝日新聞社説等を引用)
私たちはそば粉という食材を日常的に使用しており、少しでも大切に使い切る(食べる)ことが重要となります。
打ったそばを廃棄することは論外であり、切って短い残りを”切りくず”と称して安易に捨ててはいませんか?
”くず”の名称が良くないですね。
衣服を作るとき余った切れ端を”ハギレ”として販売している店もあり、そばも”切り端”などの名称にして、少しずつでも冷凍で貯めておいてクレープなど工夫して食べるなどの活用も楽しいのではないでしょうか。


私たちは「美味しいそばを打つ」ために日々努力していますが、そのためには大切な食材をいかに無駄にせず、その食材を最大限生かした料理(そば)に仕上げるかという意識が重要なのではないでしょうか。
早速、2月11日に開催される「第6回全日本創作そば料理コンテスト」の応募部門に「そばロスゼロ」部門を新設し募集したところ3部門で一番多い応募数となっており、関心の高さが伺えます。

そこで12月定例理事会では、全会員が食材に対する意識を高めることを目標に、1月から3月まで「そばロスZERO]」キャンペーンとして標語、川柳などの募集を実施することしましたので多くの会員からの応募を期待するものです。

今年も会員の皆様が健康に恵まれ、手打ちそばを楽しみ、仲間との交流により心豊かなそば打ち人生を送られることをお祈りいたします。

                          平成31年1月 元旦

                     手打そばを愛する団体(個人)をネットで結ぶ
                      NPO法人そばネット埼玉  
                      代表理事 阿 部 成 男


                〜1日1食そばを食べて健康〜

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